M16について

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M16について
 

M16は西側諸国を代表するライフル

アメリカ軍の制式小銃として配備されているアサルトライフル。多数のバリエーションが存在し、資本主義諸国家でもっとも有名な銃の一つに挙げられる。
弾薬を選んだりメンテナンスの手間があるが、命中精度が高く軽量で全体的に扱いやすい構造であり、反動も極めて小さいと言われる。兵士一人当たりの携行弾数の大幅増加にも成功した。
登場した当初は木製部品を使う事が当たり前だった銃火器業界において、全体的に黒い色で一際目立つデザインであったため「ブラックライフル」と呼ばれた。 ベトナム戦争の時期に採用・実戦投入され、改良を受けつつ現在まで制式ライフルの座を守っている。
「M16」は米軍の形式番号であり、アーマライト社及びコルト社の商品名としては「AR-15」。
 

 

M16の開発

M16(AR-15)は、航空機メーカーのフェアチャイルド・エアクラフト社の銃器開発部門であるアーマライトの技術者、ユージン・ストーナーにより開発された。試作にはウィンチェスターがM1カービン、スプリングフィールド造兵廠がM14ライフルをそれぞれ.223レミントン弾仕様にしたもの、アーマライトはAR-10を縮小したAR-15で参加し、AR-15の評価が高かったが、まだM14を制式採用したばかりだったこともあり、計画は白紙に戻された。その後、AR-15の製造権は75,000$でコルト社に売却された。
そんな中、アメリカ軍はベトナム戦争でM14の取り回しの悪さに苦しめられ、AK-47などを装備する北ベトナム軍やベトコンに対し不利な戦いを強いられた。 1961年、アメリカ空軍がM2カービン(※M1カービンのフルオートモデル)に代わる小銃としてAR-15を「M16」として制式採用。1963年、アメリカ陸軍がAR-15を「XM16E1」として実験的に配備し、223レミントン弾が制式化されM193弾となった。1967年にはM16A1として陸軍に制式採用された。 M16の製造はコルト社が担当し、委託によりゼネラルモーターズ社やH&R社が製造したこともあった。コルト社の経営危機により、現在は製造権がアメリカ政府に移り、主にFNH USA社で製造されている。
 

M16バリエーション

・M16
最初期ロット。陸軍や海兵隊ではなく空軍の警邏隊や南ベトナム軍に配備された。1962年8月に南ベトナムに軍事援助として送った965丁のAR-15がジャングルの遭遇戦で戦果を上げ、その報告書が当時国防長官であったロバート・マクナマラを動かし、アメリカ空軍と南ベトナム軍に配備された。 先端に三つ又のフラッシュハイダーが装備されている。弾倉の装弾数は20発。ハンドガードは三角断面。 前線の特殊部隊に試験的に配備してみた所、報告書では「M14に比べて様々な点で勝っており、戦闘において高いアドバンテージを持つライフル」と評価が高かった。
 
・XM16E1
1963年11月、アメリカ陸軍の要請に基づいてM16に改良を施して登場したモデル。陸軍はXM16E1として試験採用し約85,000丁を発注。1964年にはベトナム戦争に投入された。
初期納入分にはトラブルが頻発した。現場ではXM16E1不使用運動が起きたり、代替としてアメリカ製のHK33が支給されたり、敵から奪ったAK47が重宝されるなど一時期XM16E1の信頼は地に落ちる。 前進不良、装填不良、不発などの作動不良が頻発し、また銃身が細いため損傷しやすく(このため着剣が禁じられた)、耐久性にも問題があった。ろくに整備もせずに運用され、クリーニングキットやマニュアルも支給されていなかった。
これは、弾薬が仕様と異なる火薬を使って製造されていた他、兵士達の間に(その未来的な外見故に)「整備のいらない銃である」、(コストダウンと錆を嫌いアルミ製に変更した為に)「マガジンを地面に落とすとはまらなくなる」というデマが流れたなど、運用面以外での問題が大きすぎた。これを受けてメーカーの提示した弾薬の配備、兵士達にクリーニングの徹底を通達、イラストを多用した見易いマニュアルの配備、教習用の大型カッティングモデルを準備し構造の理解を深める学習などが行われた。
 

 
・M16A1
ベトナム戦争まで使用されたモデル。主に三角形ハンドガードが付いた物。
1967年、XM16E1で露呈した欠点を改良したM16A1が制式採用された。 動作不良は過去の物となり兵士達からの信頼を取り戻した。ストック内にクリーニングキットを収納し、マガジンキャッチ周辺に誤作動防止用のリブを追加。歩兵用操作マニュアルの導入が行われた。 しかし、海兵隊など一部の兵士からの不信は拭い切れず、ベトナム戦争中にはM14を完全に置き換えるには至らなかった。 採用とほぼ同じ時期、AKの30連発弾倉に対抗してM16対応の30連発弾倉が新たに導入された。
 
・M16A2/M16A3
老朽化しつつあったM16A1を置き換えるべく開発されたモデル。
ハンドガードをリブ付きの丸型に変更、ストックを延長、使用弾薬をM193弾から5.56×45mmNATO弾に変更、ケースディフレクターの追加、アイアンサイトやグリップの形状を変更など、各部のさらなる強化を施した。アイアンサイトのリアサイトは、従来のモデルの簡素なものから一転して、精緻な修正が簡単にできるものとなった。
また、戦訓を元にA2ではフルオートを廃止して3点バースト機構が導入された。しかし、この3点バースト機構には信頼性が低く、後にフルオートモデルであるM16A3が開発された。
 
・M16A4
A2/A3のキャリングハンドルを着脱可能にしピカティニーレールを増設したもの。
左側にもセレクター刻印がされるようになった。 既存のアルミ製マガジンやマグプル製ポリマー製マガジンに混じり、スチール製マガジンもわずかではあるが使用されている。
 
・M4カービン
1980年代になってM16のカービン版を求める声に応える形で開始されたM16A2カービン・プログラムをきっかけに誕生した小型ライフル。最初にXM4という名称で開発され、のちにM4として制式化された。これはM16A2と同様にフルオート射撃のかわりに3点バースト機構を持っていたが、その後、特殊部隊からの要望によりフルオート射撃機能を備えたM4E1が開発され、これがかの有名なM4A1として制式化された。
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